フランスは本当にアメリカを目指すのか?

2007.05.07

フランスの大統領が決まりました。
民衆運動連合(UMP)のサルコジ候補が、社会党のロワイヤル氏を大差で破って当選。
(大統領選で6ポイントも差が開けば大差といっていいと思います)
この大統領選、いろいろなポイントがあったと思います。
たとえば経済政策であったり、移民政策であったり、外交路線であったり、労働問題であったり・・・
もっとも象徴的だったのは、経済政策であったと思いますが、それぞれのポイントで目指す方向が明確に割れていたように見え興味深かったです。
アメリカ型を志向するかヨーロッパ型を目指すか、という捉え方は少しざっくりしすぎだと思いますが、それでも自由主義経済志向か社会保障制度の充実を志向するかの違いが明確でした。
そして結果は、労働時間の延長も含めた経済の拡大、国際競争力の強化を訴えたサルコジ氏が勝ちました。
このロジックで言えば、フランス国民はサルコジ新大統領の「アメリカ型」の「自由主義経済路線」を選んだとことになるわけですが、果たして本当にそうなのでしょうか。
 


私はむしろ、その差は候補のビジョンの明確さとその姿にあった気がします。
特にテレビ討論のときのロワイヤル候補は失敗でした。
サルコジ氏のリーダーシップに対抗する、という意図があったのだと思いますが、強気に声を荒げるシーンがありましたが、いつも強気のサルコジ氏が逆に冷静沈着にあしらっているような構図になってしまいました。
もちろん、訴えている政策そのものも含めて、サルコジ氏のほうがフランスの未来をたくせると判断したんだと思います。
決して「アメリカ型」にフランス人が心惹かれたわけではないと思います。
フランスは、その国の歴史や伝統から言って、これからもアメリカを目指すことはないと思います。
アメリカにもモノをいえるというスタンスをとり続けるはずだし、アメリカと一線を画すところにそのアイデンティティを見出すところがあるからです。
それにしても驚くべきは今回の投票率。
ほぼ84%です。
日本も参議院選挙を控えていますが、果たしてどのくらいの投票率があるでしょうか。
もちろん、大統領選挙と参議院選挙を比べることはできません。
しかしやはりどうしても、政治に対する国民の参加意識ということが気になってしまいます。
アリストテレスの言う「国制」に近づけるためにも、政治を私たちの生活にもっと近づけていくことが重要だし、そのひとつとして直接選挙というものも日本も考えていかなくてはいけないと思います。
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